No.136 (「戦間期のドイツとナチス台頭」)  : 

「ヨーロッパに相対的安定をもたらしたものとは何か?」

1924年のドーズ案と、25年のロカルノ条約である。どちらも、ノーベル平和
賞を受賞したドイツの政治家シュトレーゼマンの活躍なしでは成立しなかっ
た。前者は、米資本の導入と支払方法の緩和によって賠償金問題を改善し、
後者はヨーロッパ主要国が調印してドイツのラインラントの非武装化を確認
したものである。彼は29年のヤング案で賠償金額を4分の1にするお膳立て
をしながら、心労で亡くなっている。彼が生きていたら、ヒトラーの登場は
なかったかもしれない。あと、仏によるルール占領が原因のハイパーインフ
レを収拾したことも彼の手柄。

<評価の観点>
関心・意欲・態度:

戦間期の相対的安定期の1926年に、フランス外相ブリアンとともにノーベル
平和賞を受賞したドイツ外相シュトレーゼマンの活躍と頓死について、大き
な関心を持って学習に臨んでいる。

思考・判断:

ドイツに対する賠償金について、ドーズ案からヤング案、フーヴァー=モラ
トリアムからローザンヌ会議と、支払方法の緩和や減額が進められたことを、
戦間期の推移と連動させながら考察している。

資料活用の技能・表現:
戦間期20年間の年表で、戦後混乱期から相対的安定期への移行期に注目し、
ドーズ案やロカルノ条約が、当時の国際協調ムードの醸成に大きく貢献した
ことを把握している。

知識・理解:
ドイツ外相シュトレーゼマンによる1924年のドーズ案受諾と翌25年のロカル
ノ条約締結が、彼の履行政策と相まって、戦間期のヨーロッパに相対的安定
をもたらしたことについて基本的な知識を身につけている。